OKRがうまくいかない?運用方法とアンチパターンを解説!
OKRは、目標の設定・管理システムの1つです。
GoogleやFacebookなど、シリコンバレーの最先端企業が採用する評価システムとして、話題になっています。
日本でも導入が進む中、その運用に失敗するケースも出てきました。
この記事ではOKRのコンセプトを見つめ直し、それを踏まえアンチパターンとその対処法をまとめていきます!
OKRのコンセプト
OKRのコンセプトは、「どうやるか」ではなく「何を求めているか」を伝えることです。
「どうやるか」を伝えると、「それが実行できたかどうか」が評価基準になります。
すると「ただ言われた通りにすること」が全てとなってしまい、本当にそれで目的が達成されたかには目が向かなくなります。
昔は一部の人で施策を考え、残りの人はただ言われた通りの単純作業をするだけで良い時代でした。
しかし今は単純作業は自動化され、「考えること」が多くの人の仕事となりました。
特にデザイン、エンジニアリング、マーケティングなど、あらゆる分野を少人数で完璧に把握することは困難です。
それぞれの専門家の意見を集めることで、より良いものを作り上げることができます。
こうした背景で、個々人が主体的に問題解決に取り組めるような目標管理が重要になってきているのです。
明確なゴールの共有
OKRのメリットとして、プロダクトの目指すゴールが明確になることがあります。
もちろんOKRを使わなくてもプロダクトのゴール設定はできます。
しかしメンバー間で合意が取れていなかったり、明文化されずにそれぞれが思い込んでるだけなこともあります。
人によって「ユーザ数を増やす」「売り上げをあげる」「顧客満足度を上げる」と別々の方向を見ていると、具体的な施策の合意が取りづらくなります。
意見の食い違いが起きやすいことで、メンバーの不満もたまりやすくなります。
争いをなくすためにも、目的を明文化することは大事なのです。
もちろんOKRを設定するときに意見の食い違いは起きるかもしれません。
しかし最初の議論を乗り越えることで、その後の争いを防ぐことができます。
価値に対してのフィードバックループ
プロダクトの価値について話し合う機会が生まれることで、価値も洗練されていきます。
より本質的な価値は何かを、毎期考えることになるからです。
MBOでは個々人に個別の目標を設定します。
すると「勉強する」のような個人の目標になってしまいがちです。
また目標に対するフィードバックがないことで、「同じ目標を何年も追い続ける」ようなことにもなります。
目標がオープンに共有されることで、本当に目指すべき価値が洗練させていくことができます。
方針変換のしやすさ
MBOの目標設定はより具体的です。
たとえば「リコメンド機能を作る」という目標を立てていたら、より重要と思われるタスクが見つかっても軌道修正が困難です。
状況に合わせ対応していくためには、より抽象的な目標を持つ必要があります。
そのためのフレームワークとして、OKRは有用なのです。
OKRのアンチパターン
問題の解決方法まで指定してしまう
1つ目のアンチパターンは、OKRのコンセプトにもあるように問題の解決方法をトップダウンで指定してしまうことです。
解決方法まで指定されると、あとは詳細をつめ、実現することしかできません。
そうなると個々人の成果は問題が解決できたかどうかではなく、こなしたタスク量に依存することになってしまいます。
目標を設定しすぎてしまう
5つも6つも目標を設定してしまうと、それを覚えられませんし、何に注力すれば良いかわからなくなります。
そうなると目標が形骸化してしまいかねません。
「売上」「ユーザ数」「顧客満足度」「不具合件数」など、全ての指標は重要です。
しかし何でもかんでも目標になると、何を目指すのか曖昧になってしまいます。
つまり目標がないのと同じようなものです。
あえて重要なことを選ぶからこそ、目標として成立するのです。
そのため目標は1つ、それを計測するための指標を3つだけ設定するのが良いとされています。
浸透させない
目標を設定したらそれで終わりではありません。
メンバーがそれを覚え、目指すように持っていく必要があります。
目立つ位置に貼っておく、定期的に目標に対しての現状を確認するなど、OKRが浸透する仕組みづくりが重要なのです。
簡単すぎる/難しすぎる目標
簡単すぎても難しすぎても目標は形骸化してしまいます。
適度にストレッチして届くような目標設定にすることが重要です。
そのために目標に対して自信度を設定し、自信度が50%になるように目標設定するのが良いとされています。
適切な目標を設定は、自分たちの実力を理解していなければできません。
つまりポテンシャルを正しく理解することにも繋がってくるのです。
業務評価にひもづく
OKRはチームの目標であり、個人やチームを評価する仕組みではありません。
評価に絡むと、利害関係に目標が歪められてしまいます。
簡単すぎる目標にしてしまったり、政治的に力を持つ人が自分に都合の良い目標を設定してしまう恐れがあります。
あくまでプロダクトを成長するための目標なので、そこに業務評価を絡めてはいけません。
短期的な視点で目標を設定してしまう
アイゼンハワー・マトリクスでは、緊急度は低いが重要な項目が後回しにされるとしています。
つまり緊急度の高いものばかりに注目してしまうと、重要なことがどんどん後回しにされていきます。
OKRにおいても、意識して緊急度が低い項目を目標に入れ込んでいく必要があります。
時間的制約がない / 適切でない
目標は1ヶ月や四半期で達成できるものが好ましいとされています。
期限が設定されていなかったっり、1年といった長すぎる期間だと、目標達成に対する意識がどんどん薄れてしまいます。
反対に期間が短すぎても、できることが限られてしまいます。
たとえば1週間のような短い期間だと、それは目標ではなくただのタスクです。
タスクではOKRのコンセプトは達成できません。
自チーム内で完結していない
目標達成が他チームに依存している状況では、達成できない時に言い訳がしやすくなってしまいます。
目標達成に対する意識を高めていくためにも、自チーム内で完結した目標を設定していくことが良いでしょう。
一部の人だけの意見しか聞かないで決める
目標は全てのメンバーの意見を聞くことが重要とされています。
そうすることで目標に主体的に関わっているという意識が強まり、またそれぞれの価値観を理解することができるからです。
ただ、目標設定の場に全てのメンバーを呼ぶ必要もありませんし、全てのメンバーの合意を取る必要はありません。
一部の人で最終決定することに問題ありませんが、意見を集約する機会は用意したほうが良いでしょう。
まとめ:OKRのアンチパターンと運用方法
OKRとそのアンチパターンについて解説していきました。
OKRはあくまでフレームワークでしかなく、有効に活用するには適切な目標設定が必要になります。
モチベーションを最適化する目標設定に関しては、下記記事に記載しています。