あなたが部下に任せられない理由とは?モチベーションの関係とあわせて解説

thumbnail

マネージャーは下に仕事を任せる立場だ!なんて言うのは良く言われますよね。

しかし今まで様々な会社の方と話してきて、なんども「忙しくて任せる暇がない」「採用が良くないから任せる人がいない」という言葉を耳にしてきました。

忙しいからこそ任せるのでは?というのはみなさん頭では分かっているはず。

にも関わらずなぜ任せられないのでしょうか?

そしてなぜ部下は任せられないと思われてしまうのでしょうか?

今回は任せることとモチベーションの関係性と、あなたがなぜ任せられないのかを紐解いていきたいと思います!

任せることとモチベーション

モチベーションとは何か?

モチベーションがある状態とは、すなわちドーパミンが出る状態です。

ドーパミンとは脳内に存在する神経伝達物質で、快感の感情やモチベーションなどに関わるものです。

「仕事での成功」や「食事」、「性行為」といった行動はドーパミンを発生させます。

ドーパミンとは人間にとっての快感です。

そのため、それが得られる行動に対してのモチベーションが湧いてくるわけです。

反対にドーパミン等の神経伝達物質が欠乏している状態がうつ病であると言われています。

モチベーションを生み出すための承認

ではモチベーションの元、ドーパミンはどのように生み出すことができるのでしょうか。

人の快感に関わるもの全般であるためその手段は幅広いのですが、今回はその中でも任せることにつながる「承認」をピックアップして解説します。

承認

承認とは、自分の存在が認められた状態のことです。

例えば「君がいてくれたおかげでプロジェクトが成功したよ」なんてのはもちろん、SNSのいいねボタンも承認の一つですね。

ここから様々な例を元に説明していきますが、あくまで当人が何をされたときに承認されていると捉えるかが重要です。

良い例も悪い例も捉え方次第でどっちにも転ぶことはご了承ください。

3つの承認

承認は大きく分けて「存在承認」「成果承認」「成長承認」の3つがあります。

存在承認 存在を認めること
成果承認 成果を認めること
成長承認 プロセスを認めること

存在承認

存在承認は、その人がそこにいてくれてありがたいというメッセージです。。

例えば「一緒に食事に行く」はもちろん、「挨拶する」や「目があったら笑顔になる」なども存在承認の1つです。

反対に「無視する」「出社しても誰も反応しない」「会議に呼ばれない」「話しても興味がなさそう」などは存在承認されていない状態とも言えます。

成果承認

成果承認とは、ポジティブな行動に対するメッセージです。

「時間通りに来てくれるようになった」とか「発表のとき落ち着いて堂々と話せてた」とかいったポジティブな行動を言葉に出して伝えることで、その行動に対して承認することができます。

成長承認

成長承認とは、成果に対してのポジティブなメッセージです。

「すごく早く終わったね」とか「すごい成果だったよ」とか「おかげで助かったよ」といった内容がそれにあたります。

承認するためにするべきこと

信用し、任せるのが大事

信用している状態はまさに承認している状態です。

例えば「君ならできると思うからこの仕事をお願いしたい」であるとか、「君を信用してこのお金を預けたい」なんかがそうですね。

そのため人は信用されると、その状態を維持するためにその信用に答えようとします。なぜなら信用されている状態は快感だからです。

したがって信用して何かを任せることが部下のやる気を引き出すために重要となるわけです。

人々を不信の目で見て、あらゆる種類の命令、規則、罰則で従わせると、彼らは制度を出し抜こうとするので、あなたは自分の考え方が正しかったと感じるだろう。
信頼を持って接すると、責任感ある態度でその信頼に応えようとするはずだ。すると、自分の立てた前提が有効だったと感じるだろう。

ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現より

自分でやってしまうのは悪影響

反対に、プレイングマネージャーにありがちな「自分で全てやってしまうこと」は信用していないことの裏返しとも言えます。

なぜなら「あなたより私の方が上手くできるから私がやりました」「あなたにはできないと思うからやりました」というメッセージとしても捉えられるからです。

そのためあなたががんばって1人でやればやろうとするほど、他の人はモチベーションを失っていくのです。

その人でないといけないと思えること

承認とは自分の存在が認められた状態です。
それは反対に、「誰でも良い」と感じてしまうものからは承認感を得られないと言うことでもあります。

そのために任せるといっても仕事を押し付けたり、やらせるのではありません。
例えば「誰でもいいから議事録とっといて」と言われて議事録を取ったとしても、それで承認されているとは感じないのではないでしょうか。
「佐藤さんの議事録は字が綺麗だし論理的にまとまっててみやすいから、佐藤さんに議事録とってほしいな」の方が承認されているように感じませんか?

つまりモチベーション高く仕事するためには、この仕事は自分だからこそやっていると思えることが大事なのです。
仕事を押し付けたり、やらせることとは違うのです。

仕事を任せられないのはなぜ?

では部下に任せられないマネージャーはなぜ任せられないのでしょうか。
それには言葉にならない裏の目的があるからです。
任せられるようになるためには、まず自分がその裏の目的によって行動が妨げられていることを認知しましょう。

これはメタ認知と言って、近年重要視されている考え方です。

部下に仕事を任せたり、部下が仕事をうまくできたとき、どういう感情が芽生えますか?
裏の目的については個人個人異なってきます。

記事では様々な例をあげていくので、裏の目的を理解するための参考になれば幸いです。

自分で全てをやっている状態を維持するため

まずプレイヤーとして成功してきた場合、その成功体験は自分自身で成果を出すことにあります。すなわち自分自身で成果を出すことにモチベーションを感じるようになっているのではないでしょうか。

そしてそういう人にとって、自分で全てをやっている状態はまさにスーパーマンのように感じられるはずです。

つまりダメな部下に囲まれながらも1人で保っているという状態自体が快感になっており、実は部下に働いて欲しくないのです。

学生の頃「自分が辞めたらバイト先潰れる」なんて人いましたよね。

承認を失うことへの恐怖

部下に任せるとは、つまり自分の仕事を部下に渡していくということです。したがって自分の仕事の量は任せれば任せるほど減っていきます。

そして自分が仕事せずに組織がうまく回るのであれば、自分の存在承認が失われてしまいます。
なぜなら仕事とは自分にとっての承認の1つだからです。

また自分より部下の方がうまくできてしまった場合、さらに自分の立場を脅かす存在になってしまうかもしれません。
すると自分がいなくても組織が回ることの証明になってしまい、自分が組織に貢献しているという感覚を失ってしまいかねません。

そのため部下に任せないことで承認を失うことの恐怖から逃れようとしているわけです。

マネジメント能力がないかもしれないことへの恐れ

下記記事では、競争で優位に立ってる人間は言い訳を作るために不利な状況を作ることを説明しています。

関連記事
MVP制度は悪影響?モチベーションを最大化する競争のデザイン

マネジメントにおいても同様です。

誰もが最初はマネジメントができるからなったわけではなく、プレイヤーとして成果を出したからマネージャーになったのではないでしょうか。
つまり自分自身がマネジメントできるかどうかは、やってみないとわからないわけです。

仮に部下に任せて上手くいかない場合に、自分がマネジメント能力がなかったと判明してしまうかもしれません。
したがってそれを避けるために、「忙しい」や「頼りにならない」を言い訳に、部下に任せるという行為自体を棄権しているのです。

忙しくて任せてないだけであって、自分にマネジメント能力がないと判明してしまう未来から逃げ続けているわけです。

おわりに

この記事では、任せることとモチベーションの関係性と、あなたがなぜ任せられないのかについてまとめていきました。

裏の目的については、次の本に詳しく示されています。

なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践


@dorarep
小学生の頃からフリーゲーム作ってました。今はフリーランスでフルスタックエンジニアしてます。