プレゼンを圧倒的に上手くする方法 ストーリーテリング
突然ですが私はエンジニアになってるだけあってめちゃくちゃ口下手です。
卒論の発表会も緊張から口の水分が消滅して噛み噛みでなんども聞き返されましたし、社会人になってからのプレゼンもこの仕事お願いしちゃってごめんねと変に気を遣われちゃうぐらいでした。
特にアドリブが大の苦手で、突然さされて前に出ると頭が真っ白になってものすごく気の利かないことしか言えなくなっちゃいます。
そんな中リードエンジニアになったとき、リーダー陣が毎月チームメンバーに対して「何か良いこと」を言うGood & Newという施策が始まりました。
そしたら、なんとこちらの伝えたいことが熱意とともに伝わり、私の発表を聞くとモチベーションが上がると心待ちにしてくれる人も現れました。
しまいには他部署の偉い人まで見にきて褒めてくれました。
なぜ口下手なのにこの発表だけは成功したのでしょうか?
今振り返るとそのとき自然と、「ストーリーテリング」していたからでした。
そんな口下手を発表上手に変えるストーリーテリングの技法を今回は紹介したいと思います!
ストーリーテリングとは
ストーリーテリングは実際にあった経験を物語として語る手法です。
難しいことなくそのまんまの意味ですね。
マーケティングで使われるストーリーテリング
スーパーボウルという米国最大級のスポーツイベントは、毎年莫大な視聴率を叩き出すイベントです。
そのため別名「世界最高の広告の祭典」とまで言われてるほど、莫大な広告費をかけて一流企業がCMに力を入れるイベントなのです。
そんな広告の祭典ですが、2017年はそのCMのほとんどがストーリ仕立てになっていたものだったそうです。
つまりいま一流企業が一番視聴者に刺さると判断したのがストーリーテリングを使ったマーケティングなのです。
事実スタンフォード大学でもビジネスにおけるストーリーの力という授業が開催され、次世代のビジネスリーダたちがその手法を学習しているそうです。
ストーリーテリングはこれほどまでに効果があるものだというわけです。
ストーリーテリングは記憶に焼きつく
スタンフォード大学のチップ・ヒース教授がプレゼンテーションの内容のうち、どの部分がもっとも生徒の記憶に残るか調査しました。
まず学生に犯罪パターンに対しての統計データを出し、その後グループに別れて1人1分ずつ意見を言ってもらいました。
その間各生徒は説得力はあったか、印象的だったかなどの項目を元に採点していきます。
その後イギリスのコメディ番組の映像を数分間か見せました。
そして発表者のプレゼン内容で覚えている内容について全て書き出してもらったのです。
するとスピーチに出てきたストーリー部分を覚えていた人が63%いたのに対し、データを覚えていたのは5%だけでした。しかも発表者の中でストーリーを語ったのは全体の10%だけだったそうです。
つまりプレゼン内容を記憶に残すためには、ストーリーを使って感情に訴えかけることが重要なのです。
人は命令されると反論モードに入る
人は命令されると反論モードに入ってしまいます。
例えば「君はいつも喋りすぎだから少し黙って仕事する時間を増やしなさい!」なんて言われたら「仕事の話してんだよ」とか「お前も喋ってんだろ」とかついつい思ってしまわないでしょうか。
そのため客観的事実を元に論理的に指摘する方も多いと思います。
「チームの生産性が先月に比べて10%落ちています。ボトルネックになっている箇所を調べたところ…」
しかしそれでも聞きながらどこか反論の余地はないか、と考えてしまわないでしょうか。
ついつい揚げ足取りレベルに論理の穴をつきたくなってしまいます。
そして仮に反論の余地がなかったとしても「反論できないけどなんか納得いかないなー」となってしまいますよね。
これも結局、論理的意見の裏に命令があるからです。
「チームの生産性が10%落ちています」→「生産性あげろ」
自分の自由が他者により脅かされることに対して反発心を覚えてしまうんですね。
「私は〜」でATフィールドを討ち破れ
ではどのようにすれば相手に対して受け入れられるのでしょうか。
そのためには、あくまで自分の気持ちのみを伝えるのです。
例えば「なんであなたは遅刻したの?」だと相手に命令するニュアンスになります。
一方で「連絡なかったから心配したよ」だとあくまで自分の気持ちを伝えるのみで、それに対しての判断は相手に委ねています。
命令されることによる反論モードに入らない上、「心配させてしまって申し訳ない」と感じるのです。
ストーリーテリングは人に受け入れられる
ストーリーテリングはまさに「自分の話」でしかなく、相手に対して何かを命令するものではありません。
したがってストーリーテリングだと自然の言っていることが受け入れられるのです。
実験
ペンシルバニア大学のデボラ・スモール教授らはどのメッセージが一番寄付されるかを調べました。
- 統計を示した後寄付をお願いするもの。
- ストーリーを示した後に寄付をお願いするもの。
- 統計とストーリーどちらも示した後に寄付をお願いするもの。
結果、2つ目のストーリーのみを示したものが他と比べて2倍近く寄付が集まったそうです。
このようにストーリーを元にしたメッセージは受け入れられやすく、人の心を動かすのです。
知ってる人ほど親近感
人は知ってる人ほど親近感を覚えます。
例えば「休日何してるかも好きな異性のタイプも今悩んでることも分かる人」と「なに考えてるか分からない人」だと前者に親近感を覚えますよね。
人は未知のものが怖いため、知れば知るほど好きになるのです。
そしてその親近感を作るためにストーリーテリングは重要です。
作家のパーカー・パーマーはこのようにストーリーテリングについて語っています。
他の人の人生の旅について知れば知るほど、その人を疑いの目で見たり、嫌いになったりする可能性は少なくなる。
「関係への信頼」を築くにはどうしたら良いか?お互いをもっと知ることだ。
パーカー・ハーマー
自慢ではなく自己開示をする
自分の話をすると言っても、強がった話や嘘や自慢話をしてはいけません。
弱みを含めて、包み隠さず思いを伝える必要があるのです。
合わせて感情の共有も必要です。
「私は浪人した」ではなく「私は浪人して一度人生諦めようかと悩んだ」の方が人間らしさが伝わりますよね。