なんで意見が食い違うの?あなたの思い込みが論理的思考を腐らせる

論理的思考をしてもなぜ争うのか
頭の良い人が集まって仕事をしていてもなぜ意見が食い違ってくるのか、考えたことはありませんか?
もし論理的に同じ目標を持って物事を判断していれば、究極的には同じ行動を取るはずです。
1+1は誰が考えても2になるのに、日常生活ではみんな意見が食い違ってくるのはなぜなんでしょうか。
論理的思考の欠点
論理的思考はある前提を元に、そこから論理をつなげて答えを導き出す手法です。
つまり、それはその前提が間違っていたら誤った答えが導き出されることでもあるのです。
論理的思考の前提を狂わせる認知の歪み
20世紀の精神科医アーロン・ベックは認知の歪みという考え方を提唱しました。
これは、ネガティブな感情や不安は認知の歪みから発生していて、それを正していくことでネガティブな感情を取り除くことができるという考え方です。
認知の歪みには、以下のような種類があります。
種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
一般化のしすぎ | 物事を大きく捉えすぎてしまう。 | 「エンジニアのAさんと営業のBさんが対立してるからエンジニアと営業は仲が悪い」 |
すべき思考 | 「〜すべき」と期待し、強制してしまう。 | 「仕事なんだから理不尽も受け入れるべき」 |
選択的注目 | 一度思い込むと、そのような情報しか目に入らなくなる。 | 「最近商店街が閑散としてる、やっぱり日本は景気が悪くなってる」 |
レッテル貼り | ある人の属性から、何かを判断する。 | 「あの人はエンジニアだから飲み会が嫌いだろう」 |
結論の飛躍 | 相手の感情を先回りして読み、短絡的な結論を導く。 | 「既読スルーしたのは怒ってるからだ」 |
感情の理由づけ | 自分の感情を正当化するために、後から尤もらしい理由づけを行う。 | 「私があの人を嫌いなのは、あの人が仕事のやる気がないからだ」 |
これらは全て、事実ではないことをあたかも事実であるかのように思い込んでしまうものです。
つまり、人は物事を正しく捉えられず歪んだ認識をしてしまうということでもあります。
そして認知の歪みによって誤った認識をしてしまうと、論理的思考における前提から崩れてしまうのです。
ではどのように事実を認識すれば良いのでしょうか。
それには経験主義という考え方があります。
論理的思考を補う経験主義とは
経験主義とは行動を起こして、その結果を観察し、そこから問題解決を行う手法です。
例えば彼女に既読スルーをされたらどう思うでしょうか?
しかし行動主義においては、「メールを送って」「既読が着いてまだ返事がきていない」という行動と結果のみしか分かっていません。
相手がどう思っているのかは、わからないのです。
ではどのように返事がなかった理由を知れば良いのでしょうか。
簡単です。
「相手に聞く」という行動を取って、その結果を観察しましょう。
このように経験主義においては、行動と観察だけを考えれば良いのです。
どんな行動によって変えられるかを考える
経験主義は行動によって環境に変化を起こし、その結果を観察するものです。
つまりどんな行動を取るかだけを焦点に当てるべきなのです。
例えば「上司の自分に対する評価」に悩んでいたとしましょう。
これについて居酒屋で悪口を言ったとしても意味はありません。
できることはなんの行動を取れるかです。
- 上司は評価において何を重要視しているのか聞いて見る
- 評価基準に合わせて行動する
- 自分の成果を上司に伝える
そしてその結果を観測し、また次の行動に活かしていくのです。
観測できるものとできないもの
行動した結果を観測し、次の行動に活かしていくのが経験主義です。
つまり観測できないものについては全く考慮に入れる必要がないのです。
では観測できないものとはなんでしょうか。
それは「相手が考えていること」などです。
つまり相手がどう考えているかを考慮に入れる時点で間違っているのです。
では観測できるものはなんでしょうか。
それは「相手の行動」です。
注目すべきは「自分が何をして」その結果「相手がどんな行動をとったか」だけなのです。
そうすれば誤った前提を元に判断することがなくなり、確実な情報のみを元に論理的な思考を進めることができます。
そして対立することなく、協力していくことができるのです。
おわりに:論理的思考を腐らせる思い込み
今回は論理的思考の欠点と、それを補うための経験主義という考え方をお伝えしました。
アドラー心理学では人間の悩みは全て対人関係の悩みであると言っています。
その対人関係の悩みのほとんどは、認知の歪みが引き起こしてるものではないでしょうか?
自分にできることだけを考えて、観測できるものだけに注目すれば、人は全ての悩みから解放されるのかもしれませんね。