【エンジニア】1年で転職は失敗する?採用側の意見を言います!

最近「ただ1年単位での転職を繰り返せば無条件でスキルアップ・収入アップできる」という人が増えているように感じます。
もちろん、それがあってるかは人それぞれです。
しかし人によって「それ、どんどん条件悪くなってない?」と感じてしまうこともありました。
私自身エンジニアの採用を何年も行ってきた身として、転職についての考えを記事にまとめたいと思います。
理由の薄い転職は間違いなくデメリット
たとえば1年スパンで離婚を繰り返している人がいたとします。
もし結婚相手がそんな人だったら、怖くないでしょうか。
「その人に何か問題があるんじゃないか」「結婚してもすぐに離婚するんじゃないか」と考えると思います。
採用活動における採用側の気持ちも同じです。
- 同様の理由で、またすぐに辞めるリスク
- 不満を感じやすい人であるリスク
- 対人関係で問題を起こす人であるリスク
その経歴に対してあらゆるリスクを感じます。
ほとんどの面接において「転職理由」を聞かれるのは、そのためです。
頻繁に転職する人を採用するケース
面接で確信持って相手を見極めることは難しく、リスクがあると採用を躊躇してしまうのは事実です。
採用活動にかかるコストはもちろん、結果を出すまで慣れの期間が必要ですし、ジュニア層の採用になれば教育コストもかかります。
仮にすぐに辞められてしまったら、周りから「なんで採用したの?」って言われてしまいます。
そのような状況下で転職リスクのある人を採用することは、
- そのリスクに見合うほどの価値がある(ように見える)
- なりふり構っていられないほどブラック
といったような状況です。
つまり、自分の価値を見せられなければ、転職を繰り返すことでより悪い環境にしか行けなくなってしまう可能性は否定できません。
価値を見せるための手段
ではどのようにしたら、価値を見せられるでしょうか。
そのために、以下の2つの方法を提案します。
- 対外的に錯覚資産を増やしていく
- 社内での評価を高める
錯覚資産
錯覚資産は簡単にいえば「実力があると周囲が勘違いしてしまう」ものです。
ですが、ここでは本当の実力の有無を問わず、周囲が実力だと認識したものは全て錯覚資産に含めることにします。
なぜなら採用だけをゴールにおいたとき、採用担当者に実力があると認識されるかどうかが全て、本当に実力があるか否かは関係ないからです。
錯覚資産の増やしかた
錯覚資産を増やす方法について、次のような方法が考えられます。
- TwitterやYoutube、Qiitaでの発信
- 勉強会での講演
- 本の執筆
ただエンジニアの世界において、技術力の有無はバレやすいです。
背伸びした発信をした場合、すぐにボロが出てしまいます。
そのため基本的には、無駄に背伸びをせずに実力に見合う発信をするだけで良いと思います。
実力以上の発信をする方法
仮に実力以上の影響力を持ちたいのであれば、次にような方法もあるかもしれません。
- 転職戦略などのライフスタイルを発信していく
- 話題の記事に便乗する
- 本や海外記事など、世に出回ってない有用な情報を転載していく
- 「小学生エンジニア」「未経験から1年で年収4桁万エンジニア」などの稀少性を持たせる
全く本質的ではありませんが、「いいね」を稼ぐだけであればこれらのような戦略をとることもできます。
「バレバレの錯覚」だとしても意味があるのか?
実力以上の発信で「盛ってるなー」と思われても、マイナスにはならないと思います。
なぜなら仮に本の転載であったとしても、発信するためには少なからず理解する必要があるからです。
「知る→分かる→できる→教える」が能力開発の4つのステップと言われているように、「教える」はもっとも難易度が高いものです。
企業側が「実力以上」と理解した上でも、何も発信していない人よりは良い印象を受けるのが心情というものではないでしょうか。
社内での評価を高める
外に向けた発進とは真逆の方向性で、社内の評価を高めるというものもあります。
この業界は狭いので、「次の職場で前職の知り合いに合う」なんてことは多々あります。
知り合いに直接誘われることはもちろん、前職での評価を人づてに聞くことは多々あります。
仮に錯覚資産を高めても、過去の同僚に「採用しない方が良い」と言われてしまえばおしまいです。
社内での評価を高める方法
評価を高めるというと技術力をあげることのように受け止められがちですが、それだけではありません。
単に「人当たりがよく会社の空気をよくしてくれた」でも良いかもしれません。
「どんなに厳しいスケジュールでもめちゃくちゃ働いて終わらせる」でも良いかもしれません。
もちろんエンジニアとして働く以上、技術力を高めていくことは重要です。
ですが、自分の性格やスキルにあった価値提供をしていくことで、それを補うことはできます。
一緒に働きたいと思われれば、なんでも良いのです。
転職戦略は信用とトレードオフ
一方で転職戦略は、自分の利益のために会社を捨てる印象を与えてしまいます。
そのため転職戦略をとる際は、印象が悪化するリスクも計算に入れて行ったほうが良いでしょう。
失敗しない転職タイミング
以上の点を踏まえた上で転職戦略を行う場合、どのような状況下で転職すれば良いのでしょうか。
転職戦略の目的は「スキルアップ・収入アップ」と聞きます。
つまり「現在の環境で得られるものが少なくなってきた」という状況を打破するための手段です。
一方で「転職すれば無条件でスキルアップ・収入アップできる」と考えているような場合「転職が目的」となってしまいがちです。
会社を辞める理由づけでしかなくて、スキルも収入もアップできないところに転職してしまう人もいました。
仮に転職したとしても、「ものすごくレガシーな環境で狭い経験しかできない」のであれば全く意味がありませんよね。
- 今の状況は技術的に得られるものが少ない
- 転職した方が収入が上がる
という確信が得られる状況で、転職した方が良いと思います。
今の状況は技術的に得られるものが少ない
技術的に得られるものが少ないといっても、実際のところ社内でなんとかできるケースも多くあります。
- 新規事業チームに異動し、新しい技術に触れる
- フロントエンドからアプリエンジニアに転向し、触れる技術の幅を広げる
- 今のチームにCIを導入するなど、DevOps環境を改善する
そして、そもそも現在の環境で得るものがなくなったと言えるぐらい吸収しきったのかも重要になります。
1年で転職するということは、「1年で得るものがなくなるぐらい学習しきる」ということでもあります。
そうなってないと、新しい技術に触れてもまた中途半端に終わるかもしれません。
1社に残るのもまた戦略
転職戦略は、何より自分のスキルアップを優先していく戦略です。
反対に貪欲にスキルアップをしないのであれば、1つの会社に残ることで価値を高めていく方法もあります。
実力以上の給料を得る方法
たとえば1つのプロダクトの保守運用をずっとしている場合、たしかにスキルアップはしづらいかもしれません。
しかし、そのプロダクトや会社に対する理解は誰よりも深まります。
技術的に劣っていても、プロダクトに対する理解はそれだけで価値になります。
つまり会社にとって高い報酬を払ってでもなくてはならない存在になり得ます。
加えて会社にとって「この人は辞めない」という存在になり得れば、実力以上のポジションを任せられることになります。
そうして、実力以上の高収入が得られる可能性があります。
楽に金を稼ぎたい?
今まで「エンジニアになれば楽に金が稼げる」でこの業界に入って、あまり学習が好きでない人にも会ってきました。
そのようなタイプであれば、1つの会社に残ることで年功序列的に出世していく方向も視野に入れた方が良いと思います。
実際周りを見ていても転職し続けた結果年収がどんどん落ちてる人もいますし、1つの会社に残ってスキル以上のポジションについた人もいます。
この辺りは個々の適正だと思いますので、自分にあった生き方は何かを考えた上でフラットにネット上の様々な発信を受け止めていけば良いのではないでしょうか。
まとめ:エンジニア転職で失敗しないために
転職戦略はあくまで自己の利益最大化のために貪欲にスキルアップをしていくための手段であり、それ相応のリスクが伴います。
逆にその覚悟が無いのであれば、カジュアルに転職を繰り返していく戦略はお勧めしません。
ある種の「とっかえひっかえ女を変えてもモテる」ような生き方であり、下手に真似して居場所を失わないでほしいなーと願っています!